私たちの意識は、個人的なもので生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで、直接的な経験をしながら動き続ける。
その意識は脳の電気活動といった物理的な働きだけによるものなのだろうか。
脳と意識の関係性について、誰もがその構造モデルについて確固たる証明や、科学や宗教を超えた誰もが納得のできる説明は、いまなおなされていない。
しかし、実際に意識は各々固有に存在する。
人間は外界の事物を感じる五つの感覚器官、目・耳・鼻・舌・皮膚の五官の感覚に頼る。
つまり、人間とは物理的に構成された肉体そのものであり、心、精神は肉体の一部である脳や心臓などが生み出した働きであると多くの人は捉える。
人の意識は脳の前方にある前頭葉で処理され、自らの環境に適応しながら信念や思想を持ち、思考を発生させる。
意識は脳の中で脳によって生み出されるという考え方は、肉体的な器官としての脳と意識の関係性の捉え方だが、脳と心を理解するには、物質中心主義以外の方法によるアプローチも、真実に近づく一つの手段かもしれない。
すべての原因、結果は、原子も、素粒子も、細胞も、生命も、宇宙全体も、外的な物質と内的な意識という2つの相を兼ね備える。
もし、観念という見方で意識を捉えれば、意識は最初の存在であり、私たちは世界を、意識を通して経験する。
つまり世界がある前に意識があり、私たちが経験するすべては意識の一部である。そして物質世界は意識の中にあらわれる感覚の理解のため、私たちがつくりだしたものに過ぎない、と考えることもできる。