この状況を考察すると、大統領と補佐官の間には対中政策で亀裂が入っているかに思える。

 事実、フェニックス市でのオブライエン演説は政権内外で波紋を呼んでいる。

 ポリティコ誌のダニエル・リップマン記者は、オブライエン氏が「過激な演説」をしたと記した後、「習近平国家主席を独裁者スターリンと同等視し、世界情勢で邪悪な役割を担っている」と書き、対中強硬策に一定の評価を与えている。

 またワシントン・ポスト紙のジョッシュ・ロギン記者も、「トランプ政権高官として、これまでで最も辛辣な中国批判をした」と評した。

 同時に「オブライエン氏の中国への見立ては新しいものではない」と、トランプ政権内の事情も述べている。

 それは政権内部ですでに反中国の動きが煮詰まっていたということでもある。

 5月20日、トランプ政権は「中国に対する米国の戦略的アプローチ」という報告書を発表し、議会に提出している。

 中国との敵対関係をより鮮明化させ、関与政策を過去のものにする内容となっている。

 それからほぼ1カ月後、オブライエン氏がまず政権を代表する形で中国を批判してみせた。内容が内容だけに、約25分の演説であっても入念な準備を行ったという。