北朝鮮の首都・平壌で開催された南北首脳会談で平壌共同宣言に署名する金正恩委員長とそれを補佐する妹の金与世氏(2019年9月19日、写真:代表撮影/Pyeongyang Press Corps/Lee Jae-Won/アフロ)

金与正の靴底を舐める文在寅

 北朝鮮の金正恩委員長は「死んでいるか」、「統治能力を失ったか」、あるいは「統治能力を失いつつある状態」ではないのか。

 このところ、妹の金与正氏の出番が増え、初の女帝統治に向け着々と地固めを進めている感がある。

 そんな中、6月13日、与正氏は、国営朝鮮中央通信(KCNA)を通じ、韓国の北朝鮮脱出住民(脱北者)団体が体制を批判するビラを飛ばしていることを巡る韓国政府の対応に不満を表明。

 南北共同連絡事務所について「遠くない時期に形なく壊れる悲惨な光景を見ることになる」と威嚇したほか、「次回の対敵(敵対)行動の行使権を軍総参謀部に与えることにする」とし、軍事挑発の可能性をほのめかした。

 これに対し、韓国の文在寅政権は、まるで“女帝”の靴底を舐めるがごとく、「従北」の姿勢を鮮明にした。

 統一部はこの日、「韓国と北朝鮮は南北間のあらゆる合意を守るため努力すべき」とし、従来の姿勢を改めて強調した。

 金与正氏の談話については「厳しく受け止めている」と懸念を表明した。

 北朝鮮の強い反発を踏まえ、韓国統一省は2つの脱北者団体を南北交流協力法違反の疑いで刑事告発し、徹底的に取り締まる方針を表明した。

 これに対して、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は6月11日、韓国政府は北朝鮮の脅しに「平身低頭」しており、人権派弁護士出身の文在寅大統領とその政権が北朝鮮人のために全く立ち上がろうとしないのは「恥ずべきこと」だと非難した。