(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)
新型コロナウイルスの感染拡大により、株価をはじめ既に経済の各方面に影響が現れてきています。3月に入ってから日本国内でも感染が急拡大するにつれ、製造業や金融業などにも影響が波及しており、多くの業界で景気の先行きを懸念する見方が広がってきています。
こうした中、消費の最前線ともいえる流通業界は今どうなっているのか。
各業界団体の売上発表によると、百貨店が大きく売上げを落とした一方、生鮮品を主に取り扱うスーパーマーケットや、医薬衛生品を取り扱うドラッグチェーンストアでは逆に売上げを伸ばしています。特に後者は、マスクや消毒用アルコールの需要爆発に伴ってか、「コロナ特需」ともいうべき絶好調ぶりを見せています。
今回は、今年に入ってからの日本国内の流通業界の売上げ動向について業態別にみていくとともに、中国の状況との違いなどを紹介したいと思います。
百貨店、ショッピングモールでマイナス
下の表は各流通業界団体が発表している、2020年1~2月における業態別売上げの前年同期比変動率を筆者がまとめたものです。
まず目に付くのは百貨店の苦境ぶりです。特に2月(前年同月比12.2%減)は中国国内でのコロナウイルス流行と、それに伴う中国人観光客のインバウンド需要喪失が直撃した結果と言えるでしょう。