このほか、マスク不足解消のため3月15日からマスクを取得価格より高値で不特定多数のものへ譲渡することを禁止された。これにより、ネットオークションで流行していた転売目的の買い占めへの対策となった。
品薄状態はまだ続きそう
こうした結果、3月の供給量は6億枚、4月は7億枚を超える見通し。政府は備蓄分も含めて、医療施設や介護現場などマスクが必要なところにマスクを配布した。政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」では、「感染防止や医療提供体制の確保のため、マスク、個人防護具、人工呼吸器等の必要な物資を国の責任で確保する。例えば、マスク等を国で購入し、必要な医療機関や介護施設等に優先配布することや、感染拡大防止策が特に必要と考えられる地域において必要な配布を行う」としている。
このため、3月に医療機関に1500万枚のサージカルマスクを配布したほか、今月中にさらに1500万枚。介護施設には布マスク2000万枚、小中学校には布マスク1100万枚と矢継ぎ早に対策をとった。さらに安倍首相が1世帯当たり2枚配る方針を発表した。
しかし、こうして月に7億枚超のマスク供給体制を整えたとしても、1億2000万人の国民が1日1枚マスクを使えば6日しかもたない計算になる。メーカーは従来の数倍の生産体制を整えているが、それをはるかに上回る需要がある。店頭に並んだわずかなマスクもすぐに完売してしまうわけだ。どうやら、マスクが貴重品である期間はまだ続きそうだ。
経産省広報室はマスク不足解消の時期について「需要との関係によって変わっていくため、なかなか言えない」と説明。業界団体の全国マスク工業会の担当者も「コロナの感染状況がどうなるかわからない」と先を見通せない。国もメーカーも引き続き供給を増やしてできるだけ早く解消する方針だが、現段階では見通しは不透明だ。