シャープやトヨタグループもマスク生産に乗り出す

 これまでマスクと縁のなかった企業の参入も出てきた。シャープは三重県多気町の工場でマスクの生産を開始した。同社広報担当によると、これまでマスクを作ったことがなかったが、政府からの要請をうけ、「社会貢献の一環として」決断した。工場はもともと液晶ディスプレーを作っていたが、空いているクリーンルームのスペースがあり、清浄に作業できる空間を確保できた。親会社の鴻海精密工業が中国でマスク生産をしていたことから、マスクに関する技術協力も受けられた。

 機械を購入し、3月24日より生産を開始。24時間稼働で日産15万枚、今後、生産量を増やしていく予定。シャープでは「医療機関などから問い合わせも多くいただいているが、まだ少量なので、困っているところに国を通じて提供している」としており、政府調達分を優先し、同社オンラインストアでの一般客への販売は決まり次第サイトで案内する予定。

 経産省の事業とは別にトヨタグループは7日、マスクを含めた医療支援を発表した。トヨタ自動車広報部によると、グローバルなサプライチェーンを活用し、マスクを調達して医療現場の支援を行う。また、グループ内の自給自足を高めるため、トヨタ紡織が愛知県刈谷市の工場でマスク生産を日産1500枚で開始。デンソーも試作品を作るなど、市場からの調達を減らすことで、社会のマスク不足緩和につながればとしている。

 さらに、中国での新型コロナ被害が一段落したことから、2月中旬から徐々にマスクの輸入が再開された。経産省によると、4月1週以降は中国等から週に3000万枚規模の輸入を図り、達成されそう。一方、国内のアパレル企業がミャンマーの工場でガーゼマスクの生産を始めるなど海外生産も始まっている。この工場では3月に100万枚を日本へ輸出した。