仮に、北朝鮮が国境封鎖で新型コロナ肺炎の流入を防げたとしても、中朝国境封鎖に伴う経済的代償は甚大である。中国との貿易がストップすれば配給システムが完全に崩壊しかねない。北朝鮮の貿易の9割が中国相手であることに鑑みれば、北朝鮮は現在、まさに孤立状態におかれたといっていい。加えて昨年はここ数年来で最悪の干ばつである。既に1000万人が食料不足に見舞われているという。これに新型コロナ肺炎が追い打ちをかければ北朝鮮の食料不足はますます深刻化するであろう。北朝鮮住民の間では病気そのものよりも物価高騰や必需品の欠乏など経済混乱の恐怖の方が大きいという。

 そうした状況は南北朝鮮の関係にも大きな変化をもたらしかねない。北朝鮮は苦しくなれば、韓国に援助を求めてくるであろうか。中朝国境を封鎖したまま、38度線を開くとも思えない。今の北朝鮮に寄り添う姿勢でいいのであろうか。金正恩委員長はこうした非常事態に対処するため、国内的に締め付けを強化している。これは国民の目が韓国に向かないよう、厳しい姿勢を取ってくることになると思う。

 加えて、感染症の流行、経済の崩壊、多くの餓死者の発生によって金正恩体制が困難に直面した時の南北関係はどうなるのか。こうした状況は発生しないとしてもそれへの備えは常にしておく必要がある。しかし、今の韓国政府にはそのような考えはないであろう。そのようなことで国民の生命、財産は守れるのであろうか。

国会議員選挙で与党が敗北すれば政権はレームダックに

 昨年、青瓦台を巻き込んだスキャンダルに蔚山市長選挙介入がある。その詳細については既に知られているので再述しないが、今年の国会議員選挙は何をしても勝とうと躍起となっているのが文政権である。そこに来て、これまで述べてきたように、政権の運営能力の不足、中国に対する弱腰、経済失政の顕在化、北朝鮮政策への疑問などの難題を突き付けられた中での選挙である。選挙にいかなる形で勝とうとするのか。韓国国民はじっくり文政権の真実に向き合うべき時が来ているのである。