昨年末の米中の貿易合意により、今年は経済が好転する期待があった。サムスンは10-12月期の連結決算でスマホが67%増益、半導体も底打ちし、反転を狙えるところまできた。こうしたよい兆候を強調し、最低賃金の急激な引き上げで停滞していた経済状況を何とかごまかし、国民に希望を持たせたまま、4月の選挙に臨もうとしているのであろう。だが、新型コロナ肺炎はこうした構想を容赦なく台無しにしてしまった。

 現代自動車は中国から電子装置をつなぐワイヤリングハーネスという部品の供給が絶たれてしまったことから、国内の工場の操業を一時停止していた。供給がはじまったから、順次操業再開するようであるが、今後もこのような問題は起きよう。韓国のGDPの40%は輸出であり、そのうちの25%が中国向けである。中国の工場は新型コロナ肺炎の影響で未だ多くの工場で操業停止が続く。10日に再開したところも多いが、それによって感染が拡大する可能性も排除できない。部品の供給に停滞が生じるばかりでなく、韓国からの部品の輸出も大きな影響を受けるであろう。

 さらに中国からの韓国客の減少である。中国の団体旅行客が来なくなった影響は、ホテル業界、飲食業やお土産品の販売業者に大きな痛手となっている。済州島のレンタカーは予約の9割がキャンセルした。中国人ばかりでなく、韓国人も行かないようである。それでなくとも最低賃金の引き上げで苦境に立たされた中小企業者にとっては耐え難いであろう。

 もちろん韓国政府もただ黙って見ているわけではない。企業への資金援助などの対策に乗り出してはいるのだが、韓国企業が持ちこたえられるかどうかは、ひとえに新型コロナ肺炎の影響がどれだけ長く続くかにかかっている。ただ、いずれにしても4月の国会議員選挙はこうした悪影響の中で行われる。その影響は無視できないであろう。

北朝鮮の苦境、新型肺炎でさらに深刻に

 北朝鮮は先月22日から外国人観光客の受け入れを中止し、28日からは中国との貿易を全面的に停止した。これは医療体制が脆弱な北朝鮮に新型コロナ肺炎が入ってくれば、その蔓延を防ぐことは困難であるため、事前に国境で封鎖しようとする政策である。しかし、密貿易や労働者の派遣は完全には止まっていないようである。

 国境管理を厳しくしても、平安北道の新義州と義州で原因不明の高熱により5人が死亡した。新型コロナ肺炎との関連は不明であるが、新義州では風邪をこじらせた男性が解熱剤や抗生物質が投与されても熱が下がらないまま、死亡するなどの事態が発生し、保険当局は徹底した秘密保持を指示している。中国の遼寧省で発生した新型コロナ肺炎患者94人のうち7人は北朝鮮国境を接する丹東在住である。咸鏡北道の羅先市では既に新型コロナ肺炎が拡散しているとの情報も広がっている。情報を管理するだけでは、感染症の流行を防げない。中国で起きた失敗を北朝鮮は繰り返すのであろうか。新型コロナ肺炎が既に北朝鮮に入る場合、これが流行すれば、金正恩体制を揺さぶる事態に発展する可能性がある。