韓国政府は4機のチャーター機を飛ばして武漢にいる韓国人を輸送すると発表したにも関わらず、実際に向かった輸送機は1機だけ。こうして半数以上の韓国人を武漢に残してしまった韓国政府の外交力に対する叱咤も目立つ。

「韓国政府は中国の立場を考慮して、大統領府が異例的に直接乗り出して、武漢肺炎を“新型のコロナウイルス”と命名し、マスクも日本の2倍の200万枚を送るなどの救援物資支援に積極的だった。30日には、朴淩厚長官が500万ドル規模の対中国人道的支援に乗り出すと発表した。それでもチャーター機の運行と関連して韓国側の要求事項が貫徹されなかったことなどから、外交力の限界が露出したと評価されている」(毎日経済新聞)

 一連の報道に対し、政権寄りのメディアは、「保守野党と保守メディアが国家的な災難事態を政治的に利用しようとしている」と非難している。

前政権時代には国家的危機を利用して政権攻撃をしたのに

 だが、朴槿恵(パク・クネ)大統領時代の民主党の行動を振り返って見たらどうだろうか。

 当時の民主党代表だった文在寅氏と野党だった民主党関係者らは、 中東呼吸器疾患MERSが韓国内で拡散した時、国会でピケを張るなど、連日のように政治攻勢に乗り出した。文氏は「MERSのスーパー伝染者は朴政権だ」「セウォル号惨事の次は MERS惨事か!」と朴政権を猛烈に攻撃した。朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は真夜中に記者会見を開き、「準戦時状態」を宣布して韓国国民を不安にさせた。THAADの韓国内配置をめぐり、朴政権が国民世論の反発に遭って追い込まれた時は、民主党議員が先頭に立って、THAADの電磁波が人体に致命的だというフェイクニュースを拡散した。

 31日、韓国ギャラップが発表した文在寅大統領の支持率は41%と、曺国スキャンダルの真っ最中のときと同じような急激な下落を見せている。政権の生死がかかった総選挙を2カ月あまり先に控えたこの時期、突然の「中国発リスク」に文在寅政権の悩みは深まっている。