(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)
「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で現在連載されている「キングダム」(作者:原泰久)という漫画があります。古代中国の春秋戦国時代末期を舞台にした時代劇です。この漫画で、中国で初めて統一を成し遂げた「秦」(紀元前778年~紀元前206年)という国が描かれています。
戦国時代末期において、秦の国力はすでに他国を大きく突き放しており、統一を成し遂げたのはほぼ必然ともいえる状況でした。
では、なぜ秦はそこまで強国だったのか。それは、他国に先駆けて国内改革を果断に実行し、中央集権的な法治国家体制をいち早く築いていたことが大きく影響しています。そして、その一連の国内改革はどれも外国人宰相によって成し遂げられたものでした。
そこで今回は、秦の国内改革を推し進め、後の統一に大きく貢献した3人の外国人宰相について紹介したいと思います。
初期の発展の立役者、商鞅
秦を強国に押し上げた初期の立役者であり、最大の貢献者とも呼べるのは商鞅(しょうおう)で間違いないでしょう。
法家思想の祖の1人ともされる商鞅は、もともと衛という国の公子(王族)で、初めは魏の宰相に仕えたものの仕官が叶わなかったことから、秦に移って当時の国王であった孝公に仕えました。