イランの首都テヘランのモスク

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 第3次世界大戦の勃発かと思われた危機は意外に早く沈静化した。沈静化した最大の要因は、ミサイルによる報復に際してイランが事前にイラク側に情報を伝えたことにあろう。それは米軍の人的損害を避けるためだったとされる。この辺りの状況を慎重に検討した結果、トランプ大統領は武力による反撃をしないことに決めた。

 その演説は落ち着いた口調で行われて、トランプ大統領の評価を高めたとされる。米国の株式市場もトランプ大統領が武力で反撃しないことを評価して最高値を記録した。今日までの経過を見る時、ソレイマニ司令官の殺害に始まった危機はトランプ大統領の描いたシナリオ通りに進んだようだ。

 トランプ大統領は気まぐれ屋で、国際情勢をよく理解していないと報道されることが多いが、本当にそうなのであろうか? トランプ大統領とその周辺は、意外に世界情勢を深く読んで行動している。

急激に低下したイランの出生率

 今回のソレイマニ司令官殺害は、米国が過激な行動に出てもイランが戦争に打って出ることはないと踏んで実行した。イランは口では米国を罵り、時々テロを行うが、本心では戦争を望んでいない。そんなイランであるのなら、軍のトップを殺害しても戦争になることはない。米国の情報部はそのように考えていた。

 筆者はイランが戦争を望まない理由の根底に、図に示したTFR(合計特殊出生率)の急減があると考えている。

アフガニスタン、イラク、イランのTFR(合計特殊出生率)推移
(データ:国連人口局)