カイロ大学を含むエジプトの国立大学の“不正卒業証書”問題は今も続いている。
2015年にはカイロ大学のガーベル・ガード・ナッサール学長がエジプトの民放CBCに出演し、7、8年前(すなわち2007、2008年)から大学教授、職員、政治家などが関与して、“不正卒業証書”が発行されていると述べているのだ。これらはSNSやエジプトの全国紙の全面広告を通じて宣伝され、カイロ大学をはじめとする国立大学の卒業証書を発行しているという。これにより、エジプトに来たこともないクウェート人やサウジアラビア人が医学や歯学のディプロマ(学士と修士の中間)や修士の学位を得たりしている。
またナッサール学長自身、“不正卒業証書”発行業者がカイロ大学の職員の手引きにより、大学内の講堂を使用し、資格取得のための講習をしているのを番組の2週間前に偶然目撃したという(関係した職員は解雇)。「証書を2枚買えば、3枚目はタダ」というスーパーマーケットのような業者の広告も出ており、ナッサール学長は「こういう不正が起きるのは、エジプトだけだ」と嘆いている。
(参考動画)https://www.youtube.com/watch?v=gUd6mUqmoAk&app=desktop
(同学長のインタビューは上の動画の1時間4分15秒のところから)
いくらでもある「不正卒業証書」発行のエピソード
2017年には、教育分野に強いエジプト人女性ジャーナリスト、ダリヤ・シェブル氏(カイロ大学のマスコミ学部で学士と修士を取得、エジプトの私立大学で准教授を務める)がFacebookなどのSNS上で“不正卒業証書”を販売している複数の業者に接触し、実態を記事にしている。
ある業者は、「大学内部の記録まで捏造して“不正卒業証書”を発行する場合は40日、そうでない場合は20日で納品できる」と言ったという(大学内部の記録を捏造できるというのは、学内に協力者がいることを意味する。業者の1人は「自分にはカイロ大学、アイン・シャムス大学、ファイユーム大学、ザガジグ大学内に協力者がいる」と話した)。
またシェブル氏が業者に依頼したところ、業者が実際に彼女の名前でカイロ大学のメディア・サイエンスの博士号の証書を発行し、ヨルダン人の知人にカイロ大学の医学士(外科)の証書を発行したという。
さらに、アイン・シャムス大学の“不正卒業証書”で検査部門の医師として働いている人物に会い、アイン・シャムス大学医学部の“不正卒業証書”で実際にクリニックを開業し、整形外科医として患者を治療している人物が存在すること、ミニヤ大学工学部(建築学)の“不正卒業証書”でUAEの建設会社でエンジニアとして働いている人物がいることも突き止めている。
エジプトの薬剤師協会は取材に対し、“不正卒業証書”を利用して多数の入会申し込みがなされていると回答し、同弁護士会も過去2年間で約30件の“不正卒業証書”を利用した入会申し込みがあったと回答した。またカイロ大学工学部は学部のスタンプが盗まれたことを認めた。
(参考記事)https://www.masrawy.com/news/news_various/details/2017/12/7/1215652/شهادات-جامعية-للبيع-سنوات-الدراسة-يختصرها-السماسرة-في-أيام-تحقيق-
2018年には、エジプトの大学の“不正卒業証書”を多数作成し、1枚500クウェート・ディナール(約18万円)で売っていたエジプトの高等教育・科学研究省の職員2人とクウェート人1人がクウェートの刑事裁判所から2年間の保護観察処分類似の判決を受けた。
(参考記事)https://www.arabtimesonline.com/news/two-egyptians-kuwaiti-indicted-in-fake-degrees-case/
まだある。2019年には、カイロ教育局のパフォーマンス評価フォローアップ・調整部のディレクター(部長)が自分自身のアイン・シャムス大学教育学部の博士号を偽造していたことが発覚し、検察の捜査を受け、起訴される見通しであると報じられた。