ヤマダ電機の子会社として計再建することになる大塚家具の大塚久美子社長(左)と、ヤマダ電機の山田昇会長

(大西 康之:ジャーナリスト)

「かぐや(家具屋)姫」の嫁ぎ先は家電量販のヤマダ電機だった。ヤマダが12月30日付で大塚家具に約43億円を出資し、大塚家具の株式の51%を握り子会社化する。父親である大塚勝久氏との派手な親子ゲンカで有名になった「かぐや姫」こと大塚久美子氏に、家電量販の雄、ヤマダ電機を牽引する山田昇会長が手を差し伸べたのは、二人の背後に「小売りの破壊者」アマゾン・ドット・コムの足音が迫っているからだ。

久美子氏は社長続投へ

 久美子氏が一躍有名になったのは4年前。紙のチラシを大量に撒き、巨大な実店舗に客を集めて会員制で高級家具を売る父親のスタイルを「時代遅れ」と批判し、株主総会の委任状争奪戦(プロキシーファイト)で勝利して、経営の実権を握った。

 久美子氏は会員制を廃止し、来店しやすい店作りを志向したが、ニトリホールディングスやイケア(スウェーデン)など、自社で低価格の商品を開発する家具小売りに押され、07年12月期に727億円あった売上高は18年12月期に373億円まで減少し、3期連続の最終赤字という泥沼にはまり込んだ。純資産は15年12月末の344億円から今年9月末時点で123億円に減り、資本増強が喫緊の課題になっていた。

「お父さんのやり方は古いのよ!」と創業者の父親を追い出した利発な娘が、ものの見事に商売に失敗し、尾羽打ち枯らしてパトロンの元に駆け込んだ。一連のドタバタ劇はそんな風に見える。