次に多かったのが、繊維状の破片でこれは全体の8.5%を占めます(写真4)。大きさや太さはさまざまで、製品や用途の特定まではできませんでした。
繊維状のプラスチック製品は多数あり、人工芝のように特定は難しいため、これらをまとめて「プラスチック繊維」としました。
海外の文献などを読むと、マイクロプラスチックの大半が衣類などの化学繊維由来であるとする指摘もあります。衣類の製造過程や洗濯などで衣類の化学繊維が剥離し、流出するとのことです。これら繊維状の破片もその可能性がありそうです。
ポイ捨てごみだけではない
今回の調査では、浮遊するマイクロプラスチックには「人工芝」や「化学繊維」が多く含まれており、ポイ捨てごみだけが由来とは言えないということが分かります。
まず人工芝ですが、これはゴルフ場・サッカー場・野球場・テニスコートなどのスポーツ施設、公園、個人住宅の庭、商業施設、校庭など屋外のさまざまな施設で使われています。大規模運動施設などでは、広大なエリアに膨大な量の人工芝が敷設されています。そして、多くの場所では人が踏みしめる場所に敷設しています。通行やスポーツ利用などによって人工芝がちぎれ、その破片が降雨などで流され、河川や海に流出していると考えられます。その総量は人工芝の敷設されているエリアを鑑みるに膨大な量に上ると想像できます。
また、化学繊維は、衣料や紙おむつなど多くの日用品に使われています。衣料は洗濯のたびに摩耗し、剥離した繊維は下水を通じて流出していると考えられます。
マイクロプラスチックの由来は、ポイ捨てごみとは限らず、私たちの日々の生活の中で意図せず流出したものが多く含まれていると言い換えられるでしょう。
この調査は、同時期に川崎市以外にも国内外24カ所で実施しています。その結果、都市部ではほとんど検出されずに、地方では数多く見つかったものがありました。それを次回はお伝えします。
都市部になく地方で多かった意外なプラごみの正体
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58487