PEはPPに比べて軟らかく、レジ袋や包装フィルムなどに、PPは衣類や紙おむつなど繊維製品に用いられることが多いですが、製品の成分別の用途は厳密に区別することはできないようです(例えば食品の包装用フィルムにPPやPAを用いることも)。

 調査地点ごとの採水量当たりのプラスチック片の個数は表1の通りです。14カ所中13カ所からプラスチック片が見つかりました(写真2)。河口や港湾付近だけでなく、河川の上流である多摩水道橋などからもプラスチック片が見つかっており、陸から流出していることは間違いないと言えます。一方で、水再生センターの放流口に近い場所(矢上川橋)ではプラスチック片は見つかりませんでした。最も多かったのが千鳥運河の川崎市船客待合所前です。ここは海面を漂うごみが滞留する場所であるため他の場所に比べて突出して量が多くなっています。

表1:採水量あたりの個数(成分別)
写真2:採取されたプラスチック片(ピリカ提供)

一番多かった「平らで棒状の緑色の破片」

 今回採取されたプラスチック片を色や物性、成分などで分類したところ、一番多かったのが平らで棒状の緑色の破片でした(写真3)。これが全体の12.4%を占めています。この棒状の破片は14カ所のうち7カ所で見つかっていますが、港湾や河口付近で、より多く見つかる傾向がありました。材質はPEやPPのものが多く、見た目から類推し、ある市販されている商品のスペクトル(分光)分析を行ったところ、これらの破片と特徴が一致したものがあります。

 それは「人工芝」です。

写真3:採取された棒状の緑色の破片