韓国を訪れた教皇フランシスコ(2014年8月15日、写真:Yonhap/アフロ)

(佐藤 けんいち:著述家・経営コンサルタント、ケン・マネジメント代表)

 天皇陛下の即位をお祝いする「即位式正殿の儀」と「祝賀御列の儀」が無事終了したが、今週末には、またまたビッグイベントが控えている。ローマ教皇フランシスコの訪日だ(2019年11月23~26日)。ローマ教皇の日本訪問は、前回のヨハネ・パウロ2世以来38年ぶりとなる。

(注)現在、日本では「ローマ教皇」と「ローマ法王」という2つの呼称が併用されている。政府やマスコミは「ローマ法王」と呼称するが、日本の司教団は「ローマ教皇」に統一している。

 前回の1981年2月、キリスト教国でもカトリック国でもない日本で、教皇ヨハネ・パウロ2世が熱狂的に歓迎されたのは、史上初のローマ教皇の訪日であり、共産圏のポーランド出身で初の教皇となった本人のエネルギッシュでカリスマ的な魅力が大きかったといっていいだろう。ワレサ議長率いる「連帯」による民主化運動とあいまって、ポーランドが日本で大きく話題になっていた時代であった。

 ヨハネ・パウロ2世のように、在任中の27年間に129カ国以上の海外訪問を精力的に行った「空飛ぶ教皇」ほどではないが、フランシスコもまた海外訪問を積極的に行っている。とくに小国を中心に訪問するというポリシーを持っているらしい。

 フランシスコは、2013年に教皇になってからまだ6年しかたっていないが、すでに82歳の高齢である。前回のヨハネ・パウロ2世が訪日当時61歳であったことを考えると、年齢差がもたらすものは小さくないだろう。迎える側の日本も、バブル前夜の上り坂であった前回とは違って、今回は少子高齢化が進展し災害多発状態の下り坂にある。

アルゼンチン生まれでイエズス会出身の教皇

 南米のアルゼンチン出身で、ヨーロッパ以外の出身者としては8世紀以来初めての教皇となったフランシスコ。だが、本名ホルヘ・マリオ・ベルゴリオは、イタリア系移民2世であり、白人である。カトリック信者の中心がヨーロッパでは空洞化し、アジア・アフリカにシフトしている現状だが、白人ではない教皇の誕生は時期尚早だというのが、バチカンの総意であろうか。