台風19号による豪雨で広い地域が洪水に見舞われた長野県(写真:新華社/アフロ)

 豪雨や台風接近に際し、地方自治体も報道機関も、「早目の避難を」と言う。

「自宅が浸水したり、がけ崩れや泥流が発生したりしてからでは遅いので、その前に避難せよ」ということだ。

「早目」とは、何よりも早目なのか、何が基準なのか、その基準をどうやって決めればよいのか。誰が決めるのか。便利な表現だが、避難の決心ができない優柔不断な気持ちにさせる言葉だと思う。

 では、「早目の避難とは」何を判断基準とすればよいのか。誰がどの時点で、避難を開始すればよいのかを考察したい。

1.誰が真っ先に避難すべきか

 地方自治体が作成しているハザードマップに、豪雨の際、洪水が起きやすい地域、そこではどれほど浸水するか、土砂崩れしやすい所はどの区域かと、地図で示してある。

 住民はまず、これを見て、自宅の場所がどのような災害を受ける可能性があるのか知ることは、当然のことだ。

 今回、台風19号により各地で水害が発生し、被害の状況が映像で連日流された。

 それらを見て、災害を受けなかった人達の中で、自宅にはどのような災害が起こる可能性があるのか、改めて地域のハザードマップを見た人はいただろうか。

 災害の可能性が高いところに住む人は、命の危険性があるのだから、このマップを見て、自分はいつ逃げるべきか考えてほしい。

 自分の命にかかわることなので、最優先に行動すべきだと考えるのが当たり前だ。

 だが、なぜか自分の命のことよりも他の雑多のことを優先し、この基本的な部分に目が向かないようだ。