ラグビー日本代表の躍進は、ついにベスト4進出をかけた一戦にまで駒を進めている。世界的強豪・南アフリカ共和国に対して、ジェイミージャパンはどんな戦いを見せるのか――。
と、その前にここまで盛り上がっていてもイマイチ、ルールがわからないという人もいるはず。決戦を前に、今さら聞けない3つの抑えるべきルールを、元ラグビー日本代表の大西将太郎氏に聞く。
本稿は『ラグビーは3つのルールで熱狂できる』(大西将太郎・著/ワニブックス)の内容を再構成して紹介しています。
抑えるべき3つのルール
ーーラグビーのわからなさって、なんと言ってもルールのわからなさなんです。
大西 そうですよね。やっぱり他の競技に比べて細かいルールがたくさんあることは否めません。その上ルールがコロコロ変わる。だからそのすべてを完璧に把握する必要はないですよ。プレーしている選手たちですら、完璧に理解している人はいないんじゃないかな。
ーーえっ! そんな感じなんですね?
大西 そうなんです。なので安心してください。ここでは3つ、これだけは最低限知ってほしいというものに絞って説明しましょう。これらのルールはラグビーという競技の本質を知る上でも大切です。
まず1つ目は「前にボールを投げてはいけない」(スローフォワード)。
ーーそれは知ってます! だから、平行にパスするんですよね。
大西 そう。ラグビーはボールを横、もしくは後ろに渡していきながら、前に進むという一見、理不尽なスポーツなんですけど、そこがラグビーの特徴ですね。ボールを一発で前に運ぶにはキックしかないんです。
ーー確かに。よく考えたら、めちゃくちゃ矛盾してますね。
大西 2つ目は「ボールを前方に落としてはいけない」(ノックオン)。
よくある場面としては、「味方からのパスを落とす」「相手からタックルされ、落とす」「キックで飛んできたボールをキャッチし損なって落とす」などがありますね。
ーーよく試合が止まるのはこれですね。考えてみると2つとも「前にプレーする」ことを禁じる、という共通点がある。
大西 おっ、いい視点です。そして、最後の3つ目は「ボールより前にいる人はプレーできない」(オフサイド)。
つまり、ラグビーは「ボールが自陣の一番前にあるスポーツ」と言うことができます。わかりやすくたとえると、自分のチームと相手のチームの間に、常にボールがある状態。ボールが“サンドウィッチの具”みたいに挟まっているイメージですね。
ーーなるほど。徐々にラグビーの全体像が見えてきた気がします。
大西 しっかりと頭に叩き込んでもらいたいのは本質的なこの3つのルールぐらい。あとは無理に覚える必要はありませんからね。重要なのは流れを理解することです。