もし仮に小泉進次郎が2021年に40歳で総理に就任し、現在の第2次安倍晋三政権のように約7年もの長期政権となったとしたら、「小泉進次郎総理」の下での2021〜2028年度の日本の経済そして財政はどうなっているのだろうか? 実は、それを試算した結果をすでに内閣府が発表している。その中身を見てみよう。
ひっそりと公表された試算
今年の参議院選挙が終わってから10日後の7月31日に経済財政諮問会議が開催された。この会議は安倍総理が議長を務める重要なものである。その会議に、内閣府が『中長期の経済財政に関する試算』(以下、『試算』と呼ぶ)の最新版を報告した。
『試算』は、日本政府が発表する唯一の公式の中長期経済予測である。2001年から毎年1度発表されるようになり、第2次安倍政権が発足した翌年の2013年からは毎年2度、冬(1〜2月)と夏(7〜8月)とに発表されている。
昨年の夏は7月9日に発表されたが、今年の夏はそれより22日も遅かった。それは今回の参院選の投票日が7月21日であったからだと筆者は睨んでいる。事実、前回の参院選が行われた2016年には、『試算』は7月10日の投票日から15日後の7月26日に発表された。また、前々回の参院選が行われた2013年には、『試算』は7月21日の投票日から18日後の8月8日に発表された。今回も『試算』は参院選の投票日の後に発表された。
このことが示しているのは、もし『試算』の内容が選挙前に多くの国民に知られたら、国政選挙の結果に大きく影響しかねないと、政府内で考えられているからではないか。なぜならこの試算をつぶさに分析すれば、この試算はバラ色の未来を示すものではなく、悪夢のような未来を示していることが分かるからである。