もっと怖いのは骨盤が傾いて、その上に乗っている腰椎(背骨の一番下)が大きく曲がった状態になっていること。
こうなると、外側(背中側)のスペースが必要以上に開いている状態になる。これが習慣になると、背骨の中にある椎間板がいつ飛び出しても不思議ではない状態になる。この椎間板が、何かの拍子に飛び出してしまうのがヘルニアだ。ヘルニアは重症でなくても、飛び出した椎間板が神経に触れると激痛が走る。
吉井さん自身、かつては何度もぎっくり腰を繰り返す腰痛持ちだった。ぎっくり腰のメカニズムは医学的にはっきりと解明されておらず、決定的な治療法もない。そこで吉井さんは、知人の医師の協力を仰ぎながら、ぎっくり腰を繰り返す原因を独自に探ってみた。そうして目星をつけた原因こそ、自身の「座り方」だった。それ以来、「正しい座り方」を実践するようになると、ぎっくり腰の再発はぴたりと治まったという。
「いい座り方」には力みがない
骨盤を積木が崩れないテーブルの状態にするには、椅子の座面に坐骨と会陰を当てて、三角形で支えることを心掛けるとよいという。会陰の場所は、男性は肛門と陰嚢、女性は肛門と膣口の真ん中あたりをイメージするといい。そして、自然に降ろした足の裏全体が地面に着いて、踏ん張れる場所に置く。
「骨盤に背骨がしっかり乗った状態は、腰も背中も、肩にも首にも無理な力がかからないし、力を入れる必要もありません。自然に脱力した状態になります」(吉井さん)
日常で座る時、特に長時間にわたって座る時には、この状態を意識したい。ポイントは「ニュートラルな、どこも力んでいない状態」だ。