ネット通販事業者はヤマト依存から脱却しつつある

 同社では働き方改革に伴う体制整備の費用が増加したことや、料金の過大請求問題が発覚した引っ越しサービスからの撤退費用など、コストが増加したことが原因と説明している。確かに、過去1年間で配送業務に従事する従業員は19万1433名から20万3141名と約1万2000名も増えたので、その分だけコストは確実に増加しているだろう。

 だが、全体で2割、一部の顧客には4割もの値上げを提示しておきながら、それでも赤字というのは合理的な説明がつかない。同社が赤字転落した最大の理由はコストの増大ではなく、以前と同様、安易な需要見通しが原因である可能性が高い

 同社は配送料金を値上げするだけなく、取り扱い総量の抑制を図ったことから、一部の顧客はヤマトに配送を依頼したくてもできないという状況に陥った。同社は、状況が落ち着けば、こうした顧客が自社に戻ると考えていたようだが、現実は違っていた。

 アマゾンをはじめとする大手の宅配事業者は、ヤマトの値上げをきっかけに、一斉に自社配送網の構築に乗り出し、運送事業者への依存度を低下させている

 最も顕著な動きを示したのはアマゾンである。アマゾンは今年(2019年)の4月から、個人に商品の配送を依託する「アマゾンフレックス」をスタートさせた。荷物の配送を請け負いたい個人事業主は、アプリで申し込みを行い、条件に合致する荷物があればその荷物を配送することでアマゾンから配送料を受け取ることができる。

 同社が自前の配送網構築を検討しているという話は、以前から知られていたが、大手運送事業者ですら十分な人員を確保できない状況なのに、アマゾンが自前の配送網を構築するのは不可能だという声が多かった。筆者は、アマゾンの自前配送網確立によって大手宅配事業者の業績が悪化する可能性について何度か指摘したことがあるが、「現実を知らない空論だ」「無知にも程がある」といった激しい批判を受けるのが常だった(なぜそこまで激高して批判するのか、いまだに筆者にはよく理解できないのだが・・・)。