立川談志の柳家小ゑん時代(1959年6月6日、当時23歳)(ウィキペディアより)

 前回の記事、非常に多くの方に読んでいただけたのは、ちょうどその日、「闇営業」問題で取り沙汰されていた「芸人」たちが所属事務所から謹慎処分を受けたのと重なったからではないかと思っています。

 さて、この「芸人」という言葉ですが、「芸能人」から「能」の字が取れるとこの形になりますね。

 今回の「闇営業」問題ですが、「芸能人」から「能」がなくなって悪い意味での「芸人」と化したことが、大きな理由の一つになっているのではないかと私は考えています。

 このように「芸能人」が「<能>なし」になって、今日のような「芸人」化したことには、構造的な背景が存在します。

「闇営業」問題を、もう少し深堀りしてみましょう。

テレビが生み出した「無<能>」芸人

 先に結論を言ってしまえば、メディアが芸人を無能化したと断言してよいと思います。少なくともその端緒を与えたのはテレビでした。

 ラジオでは、こんなことは起きなかった。いったい、何が違うのか?

 亡くなった落語家の立川談志は、生前

「テレビは素人を映すのが一番おもしれぇから」

 と断言していました。彼は民放のお化け番組「笑点」を発想した張本人で、物事をよく見ていたと思います。