(篠原 信:農業研究者)
子育て中の女性に、学生から相談が寄せられた。
「電車の中で、子どもが好奇心を持つのに対し、細かく注意する母親がいて。自分が厳しく育てられてつらかった記憶もあって、ちょっとくらい好奇心を持つことくらい許してあげたらよいのに、と思うといたたまれなくて、その場を離れました。そういうことが時々あるのですが、どうしたらよいでしょうか」
相談されたお母さんは、考え込んでしまった。もしかしたら、電車のその母親は、子育てで疲れて、いっぱいいっぱいなのかもしれない。笑顔を子どもに向ける余裕も失われるほどに。だから許容度が低くなってしまったのかもしれない。でもどうしたら・・・。学生にどう答えたものか、悩んでしまった。
で、私に相談が向けられた。私は少し考えた後、次のように答えた。
「『かわいい!』って言って、赤ちゃんにいないいないばあでもしながら近づき、その人が学生さんなら、母親に『かわいいですねえ、何カ月ですか?』とか聞きながら、『子育てって大変なんですか?』と、先輩から教えを乞う形で話を聞いてみてはいかがでしょう」
驚くことに、私に相談を向けたお母さん自身が、早速その日に「実験」してみたという。その内容をご紹介。