あまつさえ韓国では社会的な問題に対して「世代間対立」が深刻だ。

 定年延長問題で、若者と高齢者の間で深刻な意見対立が表面化することは避けるべきだという意見が多い。韓国紙デスクは言う。

「日本では定年を実施的に70歳まで延長することが決まった。空前の人手不足が続いているということで、社会的なコンセンサスを得ることが容易だったが、韓国は全く状況が異なる」

 もう1つは、野党などからの「経済政策がうまくいっていないことを隠すためではないか」という指摘が出ていることだ。

 文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権は、所得主導成長論を掲げて経済、特に雇用政策を重視しているが、一向に成果が見えない。

 そんな中で辛うじて「良い数字」が出ているのが高齢者の雇用者数の増加だ。

 雇用指標が良くない中で、2019年5月の雇用統計を見ると、60歳以上の就業者数だけが35万人以上も増加した。

 低賃金で週に何日間でも働きたいという高齢者に対して、政府機関などが簡単な作業をする雇用機会を作ったためだという指摘が多い。

 若者は、質の高い正規職を求めるが、高齢者は比較的低賃金でも職に就く。定年延長で、高齢者に働く場をさらに提供すれば雇用統計上はプラスになる。

 野党は、「数字を作るための政策だ」と批判しているのだ。

 政府はもちろん、「数字を良くするために定年延長を進めることなどあり得ない」と真っ向から反論している。