マスコミの誤解だった「ミカンは肌によくない」

柑橘類の摂取と身体への作用(前篇)

2019.05.17(Fri)漆原 次郎

成分がどれだけ皮膚に到達するかは分かっていない

――この論文では、柑橘類の品種によっては多く含まれる「ソラレン」という成分が、メラノーマのリスク上昇に関与すると述べられています。この物質はどういったものでしょうか。

杉浦 「フラノクマリン」または「フロクマリン」とよばれる物質のひとつです。フラン環とよばれる構造が、クマリンという基本的な骨格にくっついたものを、フラノクマリンといいます。

 フラノクマリンは、かねてから光過敏性、つまり、日光などに対して体が過敏に反応することの原因になるといわれてきました。

 また最近では、降圧剤や抗高脂血症薬、抗不安薬、免疫抑制剤などの薬が効きすぎるといった症状も、フラノクマリンがこれら薬剤を代謝する酵素の働きを阻害するためであることが明らかになっており、グレープフルーツジュースだとコップ1杯(200~250mL)で薬物の血中濃度が有意に高くなるという論文は多数報告されています。どれくらいのグレープフルーツ、あるいはどれくらいのジュースでこのような作用が出るかは薬の種類、また個人差にもよりますが、服薬するときにはこれら柑橘類の摂取を控えるように指導されています。

――皮膚の状態に光過敏の影響を与えるといった点での、ソラレンなどのフラノクマリンの作用についてはいかがでしょうか。

杉浦 経口で摂取されたフラノクマリンが肝臓まで行くのは分かっていますが、その後の血液循環でどの程度が皮膚まで到達し、光過敏症を起こす原因となるのかは、まずまったく分かっていない、というのが現状です。ただし、生果のグレープフルーツの皮を手で剝いて食べるような場合は、果皮に含まれているフラノクマリンのいくらかは直接手に触れることにもなりますので、この点についても今後さらに検証が必要かもしれません。

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