「これまでのビジネスでの経験から、経営そのものの原型は身に付けていました。そこで、経営に必要な知識、情報のおさらいをして、自分に自信を持たせるために通いました」

 佐々木氏が創業した協立情報通信は、「経営情報」をテーマに掲げ、企業のICT化と情報集約化の支援に取り組む会社だ。そのビジネスで身につけてきた知見が正しかったことを、大学院に通うことで確認できたという。

 また佐々木氏にとって大学院に通うことは、自信を持つことのほかにも大きな意味があった。

「私たちのお客様に対して、さまざまな情報を論理的に説明して提供できないといけません。その責任があったので、大学院に通うのも特に苦に感じませんでした」

 佐々木氏によると、大学で学ぶことと自社の事業との相性は非常に良いという。

「たとえば、通信技術である5Gは、経営に関する知識があれば活用の幅が大きく広がります。大学院は経営情報の土台となる“理論”を提供しますが、当社は知識を活用して“実践”に取り組んでいるので、互いをうまく補っています」

キャンパスで築いた人脈が貴重な財産に

 放送大学でも学んでいた佐々木氏。しかし、それでは納得せず、多摩大学大学院に通うことを選んだ。通信制の大学ではなく、実地の大学へ通うことの魅力とは何だろうか。

「放送大学の大学院は、1年半くらい取り組んでいました。けれどもそれは放送による学習なので、講師や他の学生と交流する機会はありませんでした。一方、多摩大学大学院では、講師が教壇に立つというよりも、同じ目線で語ってくれます。勉強するというより、知識が自然と身に付くように感じました」

 多くの学生が集い学ぶ場には、一方的に知識をインプットするだけでなく、学んだことをアウトプットできる機会が多くある。また、大学院で得られるものは、知識や経験だけではない。そこで机を並べて学んだ仲間たちとの縁は、卒業してからも続いているという。