人生100年時代、生き残るために必要なものは何か。

(徳岡 晃一郎:多摩大学大学院 教授)

 人生100年時代が始まっているが、実はその裏の意味をご存知だろうか。それは、80歳まで現役で働き続けることが必要だということだ。

「人生100年時代」を生き残るために

 しかし、現在の企業では、従来の人生80年の前提がまだ変わっていないので、定年は60歳のままだ。多くの場合、60歳以降は65歳まで定年後再雇用となり、さしたる仕事もなく年収300万程度で年金受給まで食いつなぐことになる。

 こんな制度のもとで会社が用意した仕組みに頼っていけば、その時までに、社外で使えて価値を生むノウハウは枯れ果てているだろう。そして、65歳で多くの人は職を失う。

 ところが、人生は一方的に伸びていくので、100歳までは企業の定年とは関係なく生き続ける可能性が高いのだ。その生活資金のためにも、将来に不安が付きまとう年金以外に、少しでも稼ぎ続け、80歳まで現役で活躍し続けなくてはならない。

 また、家の外に出る用事がなく引きこもりがちになれば健康を害する。しかし今見たように会社にしがみついていると、60歳からは引退モードになってしまわざるを得ない現実があるわけだ。

 そのことは単に、自分の人生を左右するだけではなく、組織にも大きな影響を及ぼしている。引退モードが見えてくる40代後半から、すでにエネルギーが消耗気味の社員が増えているという現実だ。「先が見えた」と半ば諦め気味になる、引退モードに入ってもおかしくない社員の数は、どんどんと増えている。