悪徳業者の一人「李冬媛」は高級車6台所有

 今回起訴された3人の旅行業者は以下の通りだ。

 ロスアンゼルス近郊のアーバインに20戸のアパートを購入、2年間に500人の妊婦を呼び寄せ、300万ドルを稼いでいた「出産ツアー」業者の一人、李冬媛(41)はアパートのほか豪邸、メルセデス・ベンツなど6台の車、金の延べ棒などを所有していた。

 米中を股にかけ、100人以上の社員を使って500人以上の妊婦を米国に送り込んでいた。会社名は「You Win USA」、文字通りアメリカを食い物にし、勝利していたわけだ。

 3年間で数百万ドルを荒稼ぎしていた薫水(42)は、中国河南省鄭州のラジオ局や黒龍江省のパルピン医科大学で働くエリートの妻や娘を顧客にして3年間で数百万ドルの収入を得ていた。

 しかも変な条件だが、妊婦が女の子を生んだ場合には一定額を返却していた。

 (娘が米市民権を取得しても親の永住権取得に影響が出るわけではないにもかかわらずだ)

 薫はこれだけ稼いでいながら公認会計者らを使って200万ドルの税申告漏れ、さらにはマネーロンダリングに手を染めていた。

 3人目は鄧文端(65)。1999年に「出産ツアー」を最初に始めた草分け的存在だ。

 中国だけでなく、香港や台湾にも手を広げ、これまでに4000人の中国人妊婦を訪米させたと言っているらしい。

 顧客の配偶者や親族には、中国中央電視台や中国大手の有線電気通信の中国電信、大手商業銀行の中国銀行の幹部や社員が含まれていた。

 今回起訴された斡旋業者に共通しているのは、妊婦たちからがっぽり出産費用を取りながら、実際には低所得者のための国民医療保障制度を適用、米政府に支払わせていたことだ。

 まさに米国は「中国人に踏んだり蹴ったり」されていたのだ。