筆者も近隣の町で目撃した中国人の妊婦たち
実は筆者も「出産ツアー」でやって来た中国人女性たちを目撃したことがある。
2015年頃、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊ローリングハイツやアーケイディアのショッピングセンターには20代から30代のお腹の大きな中国人女性が3人、5人と一緒になって買い物している姿を見かけたことがある。
中国語で大声でしゃべる彼女たちは服装やしぐさで中国からの客人だと一目で分かる。
中国人の店員の話だと、彼女たちは近くのモーテルやアパートに一緒に住んでいるという。
筆者が彼女たちを目撃して数週間後、ローカル紙で市役所の職員が彼女たちの住んでいるアパートを家宅捜査したという記事を読んだ。
アパートに住む中国人たちが夜遅くまで音楽をかけたり、大声でわめきたてているとの苦情が近所の住民から出たため、市職員が尋問に踏み切ったという。
「出産ツアー」業者も事情聴取を受け、摘発されはしたが、起訴されることはなかった。妊婦の渡米に便宜を図るだけでは罪にはならなかったからだ。
起訴容疑はマネーロンダリング、医療保険違反
4年前にカリフォルニア州の自治体が「出産ツアー」業者を起訴できなかったケースに、今回、連邦検察局が起訴に踏み切れた理由は何だったのか。
「ビジネス」関連の違法行為だった――移民法違反(ビザ申請の際に妊婦に虚偽の報告をさせていた)、マネーロンダリング、為替法違反、脱税、メディケイド(低所得者のための医療保険制度)不法申請。
米連邦検察局が明らかにした「出産ツアー」起訴事実を読むと、こういった内容になる。