中国、南沙に近くミサイル配備可能に シンクタンク「設備の完工間際」

フィリピン軍が公開した、南シナ海・ファイアリークロス礁に停泊する中国漁船(2012年7月17日撮影、資料写真)。この後、ファイアリークロス礁には、灯台をはじめとする様々な施設が建設された。(c)AFP/WESTCOM〔AFPBB News

 中国政府(中国交通運輸部)は、南沙諸島に中国が誕生させた人工島の1つであるファイアリークロス礁に「海上救助センター」を開設した。これによって南シナ海の海上交通の安全がより一層促進されると、中国当局は宣伝している。

純然たる軍事基地島は危険

 もともとは暗礁とも言える無人の環礁を埋め立てて造り出された7つの人工島は、今や中国の前進軍事拠点と化している。当然のことながら一般住民は居住していない。軍関係者それに軍事施設をはじめとする建設関係者や施設運用者だけが滞在している。

 もし、それらの人工島を完全な軍事基地としてしまった場合、つまり、軍事施設が完成して建設関係者たちが引き上げた場合、7つの人工島には原則として軍関係者だけが滞在していることになる。

 そのような状況は、中国側にとっては極めて不都合であり、反対に、中国の南シナ海軍事化に異を唱えているアメリカ側にとっては好都合である。

 なぜならば、軍関係者だけが存在する純然たる軍事施設ならば、さすがに核搭載兵器を用いるわけにはいかないが、ミサイルや精密誘導爆弾それに強力な地中貫通爆弾などを人工島群に降り注いで壊滅させてしまうことが可能だからだ。

 もちろん中国側としては、原爆を2回も使用したこともあるアメリカがいざとなれば人工島を消滅させてしまうであろうことは百も承知だ。そのため中国は、南沙諸島の7つの人工島を純然たる軍事基地としておかずに、アメリカ軍がミサイルや誘導爆弾を雨霰と降り注ぐことができないようにするための手を打っているのである。

【第1ステップ】巨大灯台の建設

 その第一歩は人工島への灯台の建設であった。