2018年に話題となった、次世代型の組織像である「ティール組織」。その文化が根付いているというネットプロテクションズの実態から、ティール組織が「働き方」に及ぼす意味や実践のヒントを探っている。
第1回では同社の組織風土づくりの背景を、第2回では「自主経営」実現の取り組みについて紹介してきた。第3回では、自主経営以外の2つの突破口(全体性と存在目的)に触れながら、日本企業の「ティール組織」実践のヒントを考えたい。
第1回「話題の組織モデル、ティール組織の驚くべき成果とは」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55312)
第2回「ティール組織の実現につながった人事制度と組織改革」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55313)
「自主経営」の取り組みから得られる「全体性」
第2回で紹介したとおり、ネットプロテクションズでは「ティール組織」の特徴の1つである「自主経営」のスタイルが浸透している。そして、実はこの自主経営の取組みによって、ティール組織の突破口の1つとして定義されている「全体性(ホールネス)」も実現している側面がある(「全体性」とは、本来の「自分らしい」姿で職場に来られるような慣行が実践されていることである)。
自主的に自分が果たす役割を考え「WILLベース」で仕事を進め、希望があれば兼任もする、という仕事の仕方は、指示された仕事を嫌々こなしているよりも、ずっと「自分らしくいられる」と言えるからだ。
実際、人事総務部とビジネスアーキテクト部の職務を兼務する同社の河西遼(かさい・りょう)氏は、「自分から手を挙げてプロジェクトに参画し、希望の職務を兼務することで、私らしくいられるとともに、私しかできないキャリアが築けているように感じます」と語る。