しかし、現状は必ず変えることができます。実際、私たちの会社は創業以来「残業ゼロ・有給取得率100%」を達成しながら、「増収増益」です。働き方改革コンサルティングを提供した約1000社においても、残業時間の大幅削減と業績向上を果たしてきました。

 どの会社も決して、強制的に残業を削減したわけではありません。コンサルティングを終えたあとも、無理することなく勤務時間を削減して、業績を向上させるサイクルが継続しているクライアントばかりです。残業ゼロを実現する「手法」は、確実に存在するのです。

小室 淑恵(こむろ・よしえ)氏
ワーク・ライフバランス代表取締役社長
900社以上の企業へのコンサルティング実績を持ち、残業を減らして業績を上げるコンサルティング手法に定評があり、残業削減した企業では業績と出生率が向上している。 「産業競争力会議」民間議員など複数の公務を歴任。2児の母

「ギスギスしたチーム」をどう立て直すか

 プレイイングマネジャーが働き方改革を起こすための「はじめの一歩」をご紹介します。

 それは、プレイングマネジャー自身が「頑張り」を捨てることです。

 いざ「働き方改革」を起こそうとしても、即座に「さあ、やろうぜ」とみんなが前向きになれる職場やチームはそう多くはありません。やはり、先ほどお話ししたような「残業ゼロなんてどうせ無理だよ」「余計な取り組みはゴメンだ」というネガティブな反応が出ることもあります。それどころか中には、チーム内の人間関係がふだんからギスギスしていて、とても新たな取り組みに向き合うどころではない「マイナスからのスタート」をせざるを得ない職場もたくさんあります。

 すでに感情面でお互いが対立しているとしたら、プレイングマネジャーがどんなアプローチを試みたところで、メンバーの心には響きません。そこで、ついつい「うちのチームは関係性が良くないから、話し合おう」とか「飲み会を開いてざっくばらんに本音を出そう」といったアクションを起こしがちです。しかし、感情面で対立している「不機嫌な人」同士が話し合ったところで、より不機嫌になり、かえって溝が深まってしまうのがオチでしょう。