一方、「アルファ碁ゼロ」にインプットしたデータは囲碁の基本的なルールのみで、トッププロ棋士の棋譜を全く使用していない。

 「アルファ碁ゼロ」は、自己対局による強化学習だけで強くなり、ディープマインドの論文のタイトルにあるように「人間の知識なしで囲碁を極めた」のだ。

 「アルファ碁ゼロ」の登場で、データが足りない分野でもAIを活用できる可能性が広がった。

 ディープマインドはさらに改良を繰り返し、将棋やチェスにも応用したAI「アルファゼロ」を開発し、将棋、チェス、囲碁のいずれでも世界最強のソフトとなっている。

 昔のAIは人間の助けが必要だった。

 その後、大量のデータがあれば自ら学ぶようになり、今は人の助けもデータも不可欠ではなく、AIが競い合うことで「独学」で進化する技術(敵対的生成ネットワーク[GAN])の登場だ。

 将来的には軍事における戦闘シミュレーションや自動運転のためのシミュレーションなどに使用される可能性が大である。

 アルファ碁が世界のトップ棋士を完全に撃破したことは、AIが一定のルールの下では、複雑な分析や戦略構築において、人間よりも優れていることを示す転換点となった。

 AIと人間の戦いは、将来戦争において指揮官が下す決心に対し、AIが果たす途方もない潜在力を示した。

 人民解放軍にとってアルファ碁の勝利は、人工知能を将来的に活用することを考える大きな動機になったのだ。