●マイク・ペンス副大統領による歴史的な中国批判演説

 ペンス副大統領は、10月4日に保守的シンクタンクであるハドソン研究所で行われたスピーチで中国を厳しく批判した。

 「中国共産党は『中国製造2025』を通じて、ロボット、バイオテノロジー、AIなど世界の最先端産業の9割を支配することを目指している」

 「中国政府は、21世紀における経済の圧倒的なシェアを占めるために、米国の知的財産をあらゆる手段を用いて取得するよう指示してきた」

 このペンス演説は、米中貿易戦争の本質が「AIなどの米中ハイテク覇権争い」であることを如実に表している。

 中国経済は現在、危機的な状況にあり、膨大な債務処理の問題など中国経済の構造的問題の解決は喫緊の課題であるが、そこにトランプ大統領が仕かけた貿易戦争が重くのしかかっている。

 中国の著名な経済学者であり中欧国際工商学院教授の許小年氏は、この中国の危機を打開するためにはイノベーションが必要だと強調する。

 そのイノベーションをAIなどの最先端技術で達成しようというのが習近平の科学技術強国路線であり、富国強軍路線である。

●中国の野望は「2030年までにAIで世界をリードすること」

 現在、米国がAI分野における世界のリーダーになっているが、中国は、AI分野において米国に追いつき追い越すと決意している。

 中国指導部は、AIを将来の最優先技術に指定し、2017年7月に「新世代のAI開発計画」を発表した。

 その中で「中国は、2030年までにAIで世界をリードする」という野心的な目標を設定している。

 そして、最先端のAI研究に大規模な予算を投入し、その目標を達成しようとしていて、中国のAI投資額は米国を凌駕し世界第1位だ。