日本人は、レジで、計算の合計金額は計算したりしなかったりですが、お札を渡してそのおつりについては、かなりの人が、暗算で確かめ算をしているように思います。

 例えば 857円の買い物をして、おつりが150円以上あった(ら、得した、と思って黙って持って行くという人もいるでしょうが、ともかく変だと気づく)とか、おつりですといって123円しかくれなかったりしたら、

 「釣銭が不足してますよ」とレジ打ち担当にクレームをつけるのが普通ではないか・・・。

 いまだ「珠算」が普通に存在した昭和高度成長期の遺物である私には、こんなことはこまめに計算して当たり前、という意識がありますが、この頃の若い世代はどうなのでしょうか?

 というのも、これが全くない社会を、並行して日常的に経験するからです。

 欧州で(私が分かるのはドイツですが)スーパ―でレジを担当している人は、かなりの確率で何も考えず、金額を打ち込んで、結果として7セグメントで表示される金額を渡しているように思います。

 割り方高頻度で、計算ミスに遭遇しますが、それを指摘した際のリアクションで、ああ、この人は何も考えていないのだな、という事情が知られます。

 いま、レジの勘定や釣銭計算でも、こんな具合ですから、ましていわんや、これがAIの計算する様々に複雑な処理であれば、いい加減な追い方ではとてもフォローできません。

 その結果、コンピュータ―まかせ、システム丸投げで、中身を何も考えないという現象が起きると、えらいことになります。

 あえて実名は伏せますが、とある外資系の超一流企業の専従で、コンピュータ―のはじき出したクレージーな計算のミスを見抜くことができず、一緒に関わっていた大学院生たちに

 「こういうときは、どのようにそれらしくクライアントに見せるかが大事」とのたまわった担当者がいました。