「コップの中に水が半分ある」のが事実として「まだ半分」「もう半分」は解釈です。事実は同じでも解釈により、精神状態も打ち手の見方も変わります。解釈はアメですが、事実をどう捉えるかで変わってきます。

「あと、3合も登らないと山頂に着けない」とギャップだけに注目すると、そのギャップを埋めることしか考えられなくなります。視野が狭くなり、焦りとともにストレスもかかる悪循環に陥ります。

「今7合目まで来た。かなり登ったな、いいペースだ。あと残り3合。今のペースのままいけば大丈夫だな」というように、全体を俯瞰できれば一定の達成感を得られるため、焦りやストレスが半減するのです。

 もう1つは、上司、部下など、関係者との目線合わせです。

 同じ事実で7点と見るか5点と見るか。同じ事実でも解釈は人により違います。「まだいける」のか、「もうヤバイ」のか。感覚だけではこの解釈のミゾは埋まりません。組織を構成するメンバー間で、この目線を合わせることは非常に重要なのですが、なかなか難しいのです。しかし、このマトリックスをつかって事実をスコア化し、上司と部下、あるいはメンバー間で共有することで、同じ事実の捉え方の違いが可視化され、感覚の確認・調整も一気にやりやすくなるのです。

アメに「は「どうなりそうか?」と「乗り越える壁」の2つを

 PDCAサイクルこそ、各サイクルの課題を捉える温度差と読みの認識のズレが打ち手の正否に直結します。「どうなりそうか?」という読みが一番のキーになるのはここでも変わりません。

「どうなりそうか?」の読みにより、各サイクル内の課題なのか、複数のサイクルにまたがった課題なのか、その因果関係が変わるからです。1つの課題がいくつかのサイクルの中で悪さをしているケースも多いもの。1つ課題を解決したら、PDCA全体が一気に良くなる、なんていうことがおよそ9割の事例で発生します。そのインパクトをハッキリさせるのがアメの読みです。

カサは「打ち手」と「優先度」

 最後に課題・論点に対し、打ち手を整理していきます。キーは優先度のつけ方です。「着手しやすそう」「難易度が低そう」「すぐ打ち手の結果が出そう」という視点から優先度を決めると失敗します。いくつかの課題が各サイクルをまたがって影響し合っているので、安易な打ち手が結果につながるとは限りません。逆に新たな課題を生みだすことにもなりかねません。

 優先順位は「効果がもっとも出そうなところから」が原則です。アメまでの段階で事実と読みの因果関係は整理されているので、効果が出そうな順番はおのずと決められます。着手する難易度が高ければ、打ち手を細かく因数分解して、難易度調整をしてください。

 いずれにしても、ソラ・アメ・カサでPDCAを整理してみてください。15分も振り返れば十分でしょう。すぐに、最も効果がある打ち手が浮かび上がってくるのでお勧めします。