なぜ自分の会社で働いてくれるのか

――新しい評価方法を入れると、働く人の意識も変わりそうですね。堀代表は働く人の意識や働き方の変化をどのように捉えていますか。

 働く人の価値観はずいぶん変わりました。「これをやれ」という“MUST”の動機では、人は動かなくなってきます。「これをやりたい」という“WILL”を刺激することで、人を突き動かしていく必要があります。若い人ほどそういう傾向は強いと思います。

 アメリカは「転職社会」という話をしましたが、日本でも転職は当たり前のことになりました。副業ももっと普及するでしょうし、フリーランスで働くといったように、今後、会社勤めにこだわらなくても食べていける世の中になっていくと思います。

 個人にとっては、1つの会社にしがみつかなくても生きていけるようになるということです。

――企業側はどのような対応が必要でしょうか。

 日本企業は、いままで年功序列と終身雇用のセットで業績を伸ばしてきましたが、皆さんもお気づきのように、それも転換期を迎えています。

 1つの会社にしばられる必要のない従業員が、なぜ自分の会社で働いてくれているのかを、経営者はもっと考えざるを得なくなるでしょう。

 つまり、人を惹きつけるインセンティブを、金銭以外で作っていかなければならないということです。たとえば、優秀な人にとって、優秀なチームで働くことは非常に大きなインセンティブです。

 当然、事業として扱っているテーマやスケールの大きさ自体もインセンティブになります。今後、経営者は、そういうことをますます意識して、事業をデザインしていく必要があると思います。