さらにクラウドで提供する「SaaS」*1の普及は、HRテックの浸透を後押しています。我々もクラウドでサービスを提供していますが、SaaSに対するアレルギーがある会社はほぼなくなってきた感触があります。つまり、日本においてもHRテックが普及する土壌ができたということです。起業環境が非常に整っているアメリカほどではないですが、我々のようにHRテックサービスを提供するベンチャー企業もずいぶん増えました。

*1:Software as a Service。ユーザーが必要な機能を必要な分だけ、インターネット経由で提供するサービスの形態。

――アメリカは日本よりもHRテックが進んでいると聞きます。

 日本の10年先をいっていると思います。それは、アメリカは「生産性大国」といっていいほど、「生産性」に重きを置く考え方が根付いていることが背景にあります。

 そのため、人事に限らずさまざまな業務において効率化の取り組みが進んでいます。たとえば、効率化を促すSaaSを、中小企業でも平均で十数個利用しているといいます。日本ではこれほど利用している中小企業は少ないでしょう。

「転職社会」であることもHRテックが進んでいる一因です。「採用」というジャンルのHRテックの存在感が圧倒的に大きいのは前提として、アメリカでは、「採用後」に、働く人をケアするサービスが、かねてから存在感を示していました。

 転職社会では、採用するときだけでなく、採用後の人に対するケアが非常に大事になるからです。労働人口がそれほど増えない状況ではなおさらです。

評価で従業員の可能性を引き出し、成長を促す

――HRBrainが提供する「目標管理や評価」のHRテックも「採用後」のサービスになりますね。この分野を取り組もうと思われたのはなぜですか。