セ・パのクライマックスシリーズが幕を開ける。
今シーズン特筆すべきは広島カープの3連覇だろう。開幕して約1カ月、4月25日にこのシーズン3度目の首位に立つと、そのまま一度も順位を落とすことなく、セ界を制した。最大28の貯金を積み上げたチームは「常勝軍団」にふさわしい。
2012年まで15年連続でBクラスを経験したチームがここまでの変貌を遂げた理由とは何か。2007年以降、広島カープを追い続けたスポーツジャーナリストの前原淳がその秘密を解き明かす。(JBpress)
主力の離脱、穴を埋めた「生え抜き」の存在
広島は今年もセ・リーグの頂点に立った。3連覇――。
とはいえ、3連覇の過程を現場で見てきた筆者からすれば、今季の戦いはこれまで以上に苦しいものだった。
過去2年にはなかった主力の離脱。
シーズン序盤には不動の4番・鈴木誠也が選手登録抹消や欠場をする試合が多く、昨季MVPの3番・丸佳浩、一昨年の最多勝で開幕投手の野村祐輔も約1カ月間戦列を離れ、左のエース、クリス・ジョンソンも夫人出産立ち合いのため一時帰国した。
しかし、他チームのファンからすればそんな印象はまったくなかっただろう。結果的に広島は主力の穴を感じさせない戦いを見せた。優勝を決めるまで、鈴木が欠場した18試合は11勝7敗(勝率6割2分5厘)、丸不在の18試合は11勝6敗1分け(勝率6割4分7厘)。優勝時の5割8分6厘を上回る。
穴を埋めたのは野間峻祥であり、下水流昂であり、ハビエル・バティスタ。先発の柱が不在でも、大黒柱となった大瀬良大地が引っ張り、高卒2年目の高橋昂也や中村祐太、ヘロニモ・フランスア、アドゥワ誠が奮闘した。
共通し、特筆すべきは外国人選手を含めて、生え抜き選手ということだ。3連覇を達成したキーマンはこうした若い生え抜き選手たちの活躍であり、そしてそれを可能にしたのは広島カープならではの戦略であった。