街のいたるところで目にする佐藤一斎の語録が単なる飾り物ではないことは、町民の観光客に対する誠実な応対ぶりからもうかがえる。例えば、筆者が買った話題の五平餅は200円。日本の観光地はどこも観光客相手に“ふっかける”ところばかりだが、ここにはそれがない。観光地ずれしていないのは、人としての生き方を説く一斎の思想が浸透しているせいなのかもしれない。

『半分、青い。』が終盤を迎えた今、観光に携わる人々が心配するのは「その先」だ。「朝ドラ効果は続いても11月までだろう」――そんなコメントがあちこちで聞かれた。

 ブームが去ったあと、岩村町はどんな観光地を目指すのか。今後の選択を見守りたい。