フェリー「蘇州號」デッキから見る朝焼け(筆者撮影)

 近畿地方を中心に大きな被害をもたらした台風21号。関西国際空港では飛行機の欠航のみならず、空港全体が閉鎖されるという事態に陥った。関空の閉鎖によって多くの旅行客が翻弄され被害を受けたが、その中に、中国の実家に帰る予定だった中国人留学生がいた。彼は一体どんな方法で中国にたどり着くことができたのか。本人による手記をお届けする。(JBpress)

近畿地方を直撃した台風21号

 中国に帰るのはあきらめるしかないのか──。凄まじい風が吹き荒れる台風の中で、私は途方に暮れていました。

 9月4日、日本列島に台風21号が上陸し、近畿地方を中心に猛威を振るいました。特に関西国際空港(関空)では、滑走路での洪水発生や連絡橋損傷によって数日間閉鎖に追い込まれ、航空各社や利用者の間で大きな混乱が起こりました。

 日本の関西の大学に留学している私は、今回の災害に巻き込まれ、中国への帰国便に乗れない羽目となりました。帰国するために私がどういう行動をとったのか、その顛末を報告したいと思います。

当日の早朝に離陸延期の通知

 私は、大学の夏休みを利用して中国の実家へ帰国するため、9月2日の関空発上海行きの飛行機(JAL)を予約していました。JALのチケットは中華系の旅行会社を通して購入しました。出発時刻は昼過ぎの予定でした。

 搭乗前日の9月1日の時点で、台風が近畿地方を直撃するという予報が出ていました。ただし、その時点では「飛行機はなんとか飛ぶだろう」と気楽に構えていました。