「前虎後狼」の日本列島
「前門の虎 後門の狼」という言葉がある。前から来る虎を防いでも、すぐに後ろから狼がやって来るという意味であり、災難などの辛いことが次から次へと起こるということの例えである。
今の日本列島を見ているとまさしく前虎後狼(ぜんここうろう)である。主な自然災害を概観してみる。
2月5日から8日には、北陸地方西部の福井県嶺北地方(敦賀市から京都寄りの地域を除いた地方)、石川県加賀地方(能登地方を除いた石川県)を中心に記録的な大雪となった。福井市では積雪が147センチメートルに達し、37年ぶりの豪雪となった。福井県坂井市からあわら市の間で車約1500台が立ち往生し、福井県は自衛隊に災害派遣を要請することとなった。車に乗っていて身動きがとれなくなり、一酸化炭素中毒で死亡する人や雪下ろし中の転落事故が相次いだ。福井県内では、物流にも大きな支障が出た。
4月には、島根県西部地震が発生した。大田市で最大震度5強を記録し、1000棟以上の建物で被害が確認され、断水や停電も発生した。
6月には「大阪北部地震」が発生し、高槻市では小学校のプール脇のブロック塀が倒壊し、女子児童が死亡した。総務相消防庁の集計によると、大阪府内で死者5人、2府5県で負傷者435人、住家の全壊12棟、半壊273棟、一部破損4万1459棟、火災は大阪府と兵庫県で7件確認されている(7月29日現在)。
7月には、「平成30年7月豪雨」が岡山、広島などの中国地方、四国地方に未曾有の被害をもたらした。総務相消防庁によれば死者221人、行方不明者9人、負傷者421人となっている。住宅の全壊、半壊、一部損壊を合わせると約1万5000棟、床下・床上浸水は3万3000棟以上に及んでいる。