とはいえ、JAXAのロケットで衛星を打ち上げるには厳しい審査があるはずだ。今回の打ち上げはJAXAの「きぼう」からの小型衛星放出の有償サービスを利用しており、さまざまな試験や審査を経る必要があった。具体的には、熱真空試験、放射線試験、振動試験。真空試験については真空チャンバーを買って(なんと嶋村さんの個人所有!)宮本さんの工場に設置。いつでも使える状態にした。

 メンバーには、町工場の職人やウェブプログラマー、システムエンジニア(SE)、半導体製造のエキスパートのほか、デザイナーや看護師、大工、教員、会計士などさまざまな人たちが集まっている。

「リーマン、いわゆるビジネスパーソンが8割、あとの2割は学生さん。中学生から大学生まで参加している」(大谷さん)

 開発と打ち上げにかかった経費は、合計で580万円。内訳は打ち上げ費用が300万円(このサービスは、今後は民間企業が担うため、価格は高くなる可能性も)、開発費用が280万円。ちなみに人件費は含まれていない。費用はクラウドファンディングや20名ほどの個人の出資で賄った。

1号機は自撮り衛星

ISSの「きぼう」日本実験棟から2013年11月に放出された超小型衛星 。リーマンサットのRSP-00もこんなふうに放出されるだろう。(提供:NASA/JAXA)

 RSP-00は「こうのとり」7号機によってISSに9月19日に届けられる予定。その後、「きぼう」エアロックからロボットアームで宇宙空間に送り出されるが、時期はまだ決まっていない。

 衛星が放出された後は、江戸川区の工場に地上局を設け、1日に約2回、それぞれ約10分間の通信時に指令を送り、データを受信する運用を行うことになる。運用期間は100~250日程度の予定だ。

「本業のあるリーマンたちにとって、1日2回の運用をどうするかは課題でもあります」(嶋村さん)

 学生に頼むか、遠隔操作を検討しているそうだ。