開発・打ち上げ費 580万円、10cm立方の衛星「RSP-00」
では、リーマンサット初の衛星「RSP-00」とはどんな衛星なのか? 写真を見てお分かりの通り、大きさ約10cm立方の手のひらサイズの衛星。重さは1.26kgと、超軽い。国際宇宙ステーション(ISS)に荷物を運ぶ日本の貨物船「こうのとり」7号機に搭載され、打ち上げられる。今年度中に、ISSの日本実験棟「きぼう」から宇宙に放出される予定だ。
RSP-00のミッションは、手書きで書かれた約6000通の願い事をデジタルデータ(音声+テキスト)にし、宇宙に届ける「宇宙ポスト」。また、地球の写真撮影と送信、高速無線機の実証などだ。衛星が宇宙に放出された後、音声メッセージを合成音声で聞くことができる仕組みも搭載されているという!
RSP-00の開発メンバーは78名。開発スペースとして、宮本卓(みやもと・たく)さんが代表を務める町工場が開放された。宮本さん自身も大学卒業後、宇宙開発事業団(NASDA、現・JAXA)の採用試験を受けるほどの宇宙好き。研究職を経て、現在は江戸川区で金属加工と溶接を担う町工場の代表を務めているが、ずっと宇宙と関わりたいと模索している中で、リーマンサットと出会い、飛び込んだという。
そして、RSP-00のプロジェクトマネジャーを務めるのは嶋村圭史(しまむら・たかふみ)さんだ。鉄道の表示器のソフトウエアを作る技術者だったが、実は個人で衛星を作ろうと、真空チャンバーなどの実験器具の用意を始めていたというツワモノ。
「衛星設計コンテストのwebサイトで、過去に学生が開発した衛星の設計書数十年分を全部読んで、衛星ってどういうものなのか、各機器はどうなっているか、一つひとつ勉強しました」(嶋村さん)
さらに、大学で行われる人工衛星の設計審査会に参加し、先生たちと仲良くなり、研究室にお邪魔してノウハウを教えてもらったという。「素人でも熱意があれば衛星づくりに詳しくなれる」と嶋村さんは言うが、この熱意、半端ない。