(文:コーチ・エィ 鈴木義幸)
「ピグマリオン効果」をご存知でしょうか?
教育心理学の分野で生まれたセオリーですが、マネジメントの領域でも時折耳にすることがあります。簡単に言えば、教育者の生徒に対する「見方」が、生徒の学習成果に影響を与えるというものです。
例えば、一方の教育者のグループに「あなたがこれから担当する生徒は天才の集団です」と伝える。本来は平均点の生徒なのに。
他方の教育者のグループには、「あなたがこれから担当する生徒は落ちこぼれの集団です」と言う。やはり本来は平均点の生徒なのに。
そうすると、前者の生徒は平均点を大きく上回る成績を収め、後者は平均点にすら届かなくなる。
このセオリーは、教育者側の「見方」が相手の学習成果に大きな影響を与えるということを示しています。
私の知る限り、ビジネスシーンでの実験やリサーチはありませんが、おそらく上司の部下に対する見方も、部下のパフォーマンスに一定の影響を与えているでしょう。
他者の「見方」はその人自身に取り込まれる
「The New Yorker」で興味深いリサーチ結果に関する記事を読みました。
スタンフォード大学での研究で、自殺した人の遺書を大学生に読ませました。半分は本物で、もう半分は適当に作った偽物です。
どの遺書が本物の遺書であるかを見分けるのが、生徒のタスクです。