私の在籍している博報堂生活総合研究所は、1981年の設立から現在に至るまで、「生活者発想」に基づいて生活者の行動や意識、価値観とその変化を見つめ、さまざまな研究活動を行っています。
本コラムでは、世の中で生じている事象に対して、研究所に蓄積された研究成果やそれらに基づく独自の視点により考察を加えてまいります。読者の皆様にとって、発想や視野を広げるひとつのきっかけ・刺激となれば幸いです。
30年伸び続ける夫の家事・育児参加意識
前回のコラムでは、私たちの研究所で行っている「家族調査」の結果を基に、1988年から2018年の30年間で夫婦間のパワーバランスがどのように変化してきたかを見てきました。家庭内のさまざまな決定権を巡っての“権力闘争”は、妻が力をどんどん増しているという状況が浮き彫りになりましたが・・・、今回はちょっと視点を変え、家庭内の「家事分担」について見ていきたいと思います。
食事の支度や家の中の掃除、洗濯、買い物、子どもの世話などなど、毎日の生活はさまざまな種類の家事によって成り立っています。それらに対する夫婦の意識や行動には、30年間で何か変化が生じているのでしょうか。
こちらのデータは、「夫も家事を分担する方がよい」と答えた人の割合が30年間でどう変化したかを表したもの。
夫と妻それぞれに質問しているのですが、
●夫も家事を分担する方がよいと思う
妻:1988年60.4%→2018年85.1%
夫:1988年38.0%→2018年81.7%
出典:博報堂生活総合研究所「家族調査2018」(以下データも同様)