資金の手当てについては慎重を期しているつもりだった。150億円以上の経常利益を出した年も配当は0円にしたのも、A380の購入に備えてのことだった。
不正アクセス急増と急激な円安で窮地に
しかし、タイミングが最悪だった。
「2012年の後半ぐらいからかな、予約システムへの不正アクセスが急激に増えだしたんです。サーバーを大きくしても一向にやまない。データを持っていかれている形跡はなかったんですが、予約したお客さんに届くはずの予約確認メールが何%か届いていなかったんです。予約確認メールが届かなかったら、予約番号も分からないし、オンライン決済もできない。3日ほどオンライン決済ができなかったら予約は取り消されてしまいます。この問題で、全体の売り上げが3%落ちてしまった。
そこにアベノミクスで円安が一気に加速しました。それによって増えたコストが月8億円ほどになった。月々8億円ですから年間でざっと100億円。そこにもってきて売り上げが3%減ですから、きっちり赤字になりました」
一転、赤字経営に陥ったスカイマークに、A380を導入する余力はなくなった。機種変更などを打診するも、エアバス社から送られてきたのは巨額の違約金請求だった。
「迂闊と言えば迂闊ですが、違約金を求められるまでは会社が破綻するとは思っていませんでした。銀行からの借入枠を結構持っていましたから。
ところが違約金請求が来た途端、中間期決算で監査法人からゴーイングコンサーンの注記を付けられてしまった。そうなると増資もできないし融資も受けられない。そこからはあっという間でした」
JALとの共同運航で生き残りを図ろうとしたが、破綻直後のJALとの提携は国交省が認めようとしなかった。そこからANAとの共同運航を模索しはじめたが間に合わなかった。2015年1月28日の取締役会で西久保は社長を辞任、同時にスカイマークは民事再生手続きを申請した。もちろんメディアは、西久保の経営責任を大々的に追及した。