米国人が引っ越ししなくなってきたという話を先日、米国の知人から聞いた。
米国人と言えば、「引っ越しを繰り返す国民」という印象がある。筆者の滞米25年の経験からも転居をよくする人たちとの思いが強い。
古い映画で恐縮だが、1955年に公開されたジェームス・ディーン主演の『理由なき反抗』の中でも描かれていた。
着実に減り続けている転居率
ディーンが演じるジムは問題を抱える高校生で、父親は息子が問題を起こすたびに転居を繰り返していた。
映画の転居はジム問題の本質から目を背けているようにも思えるが、一般的な米国人の転居率の高さは可動性の良さとも受けとれる。
しかし転居を厭わないと思われてきた米国民が近年、引っ越ししなくなってきているというのだ。本当なのだろうか。
ハーバード大学住宅共同研究センターが今年発表した報告書に、転居が減っている事実が示されていた。
2006年の統計では人口の13%が同年に転居をしていたが、13年には12%に、17年には11%へと確実に下がっている。
1%ずつの減少とはいえ、約3億2500万という米人口を考えると大変な数字になる。ちなみに、日本の転居率は総務省統計局によると16年で5.8%。米国のほぼ半分だ。