「スターバックスは単にコーヒーを飲む場所ではないのです。出会いの場所でもあるのです」
スターバックス(以下スタバ)の創業者ハワード・シュルツ氏は21年前、シアトル本社で筆者にそう語った。
フィラデルフィアの店舗で黒人客2人が逮捕
創業当初から「出会いの場」を提供することがスタバの狙いであり、企業としての使命と捉えていた。だが4月12日、米東部フィラデルフィアにある店舗で、コーヒーを買わずに知人を待っていた黒人客2人が逮捕された。
スタバが「出会いの場」であるのであれば、友人との待ち合わせに使っても問題ないはずである。
知人が来る前、まだ何も買っていない時にトイレを使用したいとの申し出を店側が拒絶。口論となり、店が警察を呼んで逮捕された。
黒人男性は事情聴取の後、すぐに釈放されたが、逮捕される現場を他の客が動画で撮っていた。すぐにネット上に拡散されて問題が表面化する。動画を観る限り、黒人客は無抵抗だった。
スタバには人種差別との批判が殺到し、5月29日に全米にある約8000の直営店を閉鎖して従業員約17万5000人に対して研修を行うことを決めた。
奇しくも、創業者であるシュルツ氏が今年3月末で経営最高責任者(CEO)から会長に退いた直後の事件だった。