「ゴールを決めるエースストライカーが、売上がとれる営業担当者とします。でも、エースストライカーが1人いるだけでは、サッカーの試合はできません。控えも含めたその他のメンバー、監督やコーチ、さらにはグラウンドの清掃員や食事をサポートする栄養士などがいるから、試合ができるわけです」。

 つまり、個人としての成果ではなく、会社としての成果につながる役割を果たすことができれば、それが「貢献」として評価されるわけだ。

 また、会社への実質的な「貢献」が評価されるという意味で、アトラエでは「会社にいること」は重要視されていない。そのため、テレワークも自由だ。「週に何回までといった規定はありません。やるべきことをやっていれば、どこで仕事してもいいからです」(南氏)。

 こうした「会社にいること自体は大事ではない」という考え方は、有給休暇の取得のしやすさにつながる部分があるだろう。実際、アトラエでは有給休暇を月1回以上取得することを推奨しており、社員の誰かしらが休んでいるのは日常的だという。

「休む」を起点に「働き方」と「仕事のあり方」を見直す

「サバティカル休暇」を導入したアトラエの職場環境を聞くと、次のような休暇を取得しやすい特徴があり、相互に関係していることが分かる。

・「休暇」は仕事の「インプット」と位置づけている
 → 休みに罪悪感を感じる必要はない
・「属人化」を排除した業務運営をしている
 → 休んでも業務が滞らない
・「社員が会社にいること」は重要視していない
 → 会社にずっといる必要がない
・会社が有給休暇取得を推奨している
 → 休むな、という雰囲気がない
 

 このような特徴は「サバティカル休暇」導入はもちろん、法定の有給休暇消化のヒントにもなりそうだ。こうした特徴がある日本の企業は少ないだろうが、だからこそ「サバティカル休暇」導入検討が、「休めない」職場環境を見直すきっかになることもあるかもしれない。

 個人の「働き方」だけでなく、会社における「仕事のあり方」の見直しにつながる「積極的な休み方」の広がりに期待したい。